百縁近逸
8/Dec/2013
 百円ショップ。店内全ての商品がわずか100円と少しの小銭で買えるというのは、凄い話だ。しかし、罠はここに潜んでいる。一見激安に見える100円という値段。しかし、5つ買うとどうだろう。あっという間に500円を超える。それに気づかず目につくものをあれこれとカゴに投げ入れていると、意外に値が張ったりしてレジで驚くことになる。もちろん、聡明な皆さんは個数を数えて力強く暗算してから会計に望むのだろうが、前にドヤ顔でピッタリを支払ったら数え間違いでもっと必要だったということがあったので、そんなことがないようにして欲しい。

 ところで、こんなひゃくえんショップはどうだろうか。入り口。可愛らしい女の子が目に入る。女の子も、入店音でこちらに気づく。その瞬間、「ひゃっ!…あっ、いらっしゃいませ…こちらではクエン酸?の販売をしてるんですが…」人見知りなのだろうか、小声でそんなことを口走る。顔が暗い店内でもはっきりわかるくらい紅色に染まる。店内には、ズラリと瓶が並んでいる。全て、ラベルは「クエン酸」。値札を見ると、とても軽い覚悟では購入どころか手にすることすらままならない値段が軒を連ねている。女の子は戦慄している僕の様子を見て……「すみません……全然売れなくて、値段が下げられないんです……」申し訳無さそうに、か細い声でつぶやく。

 なら僕、買っちゃうね。いいところ見せたいもん。買っちゃう。一番高いヤツ。それで意気揚々とレジに持ってって、驚く女の子を尻目に支払いを済ませる。勿論カードなんか使わない、懐から取り出した札束で買っちゃう。それで、その場で飲む。液体じゃなくても飲む。粉?唾液があるから大丈夫。んで一口で飲み干したら「ンーこの味わい…そこらに出回ってる低俗な合成物にはない深み、芳醇さに満ちているね!鼻にくる酸味もどこか穏やか!素晴らしい!」って叫ぶ。そんで倒れる。そこで女の子はもうメロメロ。もうかっこよすぎて、多分女の子立ってらんない。それで我に返って、倒れた僕を介抱してくれたりして、そのあと色んな偶然が重なって結局僕は童貞を捨てるの。これ、完璧なプランだと思いませんか?僕は完璧だと思います。

 以上、「ひゃっきん!~脱☆素人童貞、僕の奥さんクエン酸」をお送りしました。最後に、印税ってどのくらい入るんですかね?