電子危機
27/Nov/2013
 ジャンクのPCパーツを投げ売りするイベントがあったので、参加してきた。こういったイベントでは、目当てのものが安く投げ売られているのを、故障覚悟で購入するのももちろん楽しいが、見えている地雷を踏みに行く事もまた楽しい。向こうもどうせ利益を上げようとは思っていないから、あまり損をすることはない(と思う。)小さな初期投資で、ある程度の楽しみが得られるだから安いものだ。だから、僕はこういうのが大好きだ。

 会場に入る。無論、挨拶はない。流れる、家電量販店の音楽。誰も顔を上げず、自分の、或いは所属するコミュニティーが作り出す小さな世界に没頭している。長机の上に並べられた、人類の進化の結晶。いくら当時最新であっただろう技術が投入されようと、時の流れに勝つことはできない。一世を風靡した商品すら、今や怪しげな中国産ノーブランド電子機器に埋れている。いわば、情報と技術の墓場といった具合であった。

 狭い路地をすり抜けながら、商品を見て回る。貼り付けられた付箋は、出品者の仮の名前、そして大雑把な説明と、値段を伝える。大雑把な説明というのも本当に大雑把で、「使ったことがないので分からないです」「謎です」「○○が足りません」のオンパレード。終いにはCPUを購入した際に付属するシールが10円で売られていたり、化石のようなCPUが無料で配布されていたりして、まさに現代に生まれ落ちたカオスの様相を呈している。

 アンチエイリアスガタガタの繁体が用いられたUIに不安が募る感圧式のDAPや、3台買っても2000円しないディスプレイ、限定だが使い道のないつくもたんグッズなど、心惹かれるものはあったが、どれも決定打に欠けている。具体的に欲しいものがない以上、やはり光るものが欲しい。そういった自分勝手な考えの元、見て回る。僕の足はある商品の前で止まる。天板に輝くDELLのロゴ。黒光りするディスプレイを開くと、「INSPIRON mini」の文字。そう、一時は出先でのPCニーズを一手に引き受けた、今やタブレットの高機能化とノートの軽量化で見る影もなくなった、ネットブックだった。

 思わず、値札を見る。汚い字で、「5000円」「動作します」と書いてある。動作するのかよこれ。僕の地雷を踏みたい心が強く揺り動かされる。外装の状態は悪くない。ACケーブルも、付属している。電源をつけてみる。付かない。バッテリーは放電し切っているからであろうが、問題ではない。スマートもしもしを起動して、型番で検索する。2009年11月発売。スペックとしては2世代前と言っても差し支えなく、戦えるかは微妙なところ。とはいえ、そこそこの値で売られているタブレットとほとんど変わらない。丁度軽い文書処理ができる程度のノートを探していたから、もしちゃんと動けばかなり儲け物だ。財布の軽さは不安だが、面白ければ、まともに動けば5000円の価値はある。動かなきゃ窓から投げよう、そう思い、手に取る。レジへ行く。手渡す。アィーッス。どこから出ているのか分からないような音を出す店員を尻目に財布から5000円を取り出す。一枚の紙切れと交換に、商品を受け取る。こうして、僕の家にInspiron miniが出迎えられることとなった。

 帰宅する。まずは丁寧に手を洗って、コートをきちんとハンガーにかける。汚い机を整理してから電源を入れる。予定だったが、手を洗って即付けてしまった。誘惑には勝てねえ。電源ランプが輝く。DELL。ちゃんとついた。鈍く光るロゴを眺めながら、喜びを感じる。徐々に伸びていくプログレスバー。この間に、裏面の型番でWeb検索をかける。どうやら、「Inspiron Mini 10」という機種らしい。そうこうしているうちに、画面が遷移する。前のユーザーがデュアルブートしていたらしく、OSの選択画面が表示された。Debian。もう一方を見る。Debian。もう一方を見る。Debian。もう一方を見る。Debian。おかしい。Linux系しか入っていない。震える指で、Enterを押す。CUIが開いて、僕に膨大な量の情報を押し付ける。そして、ふいに止まる。最後の行には、

○○ login>

 付箋の文字が、蘇る。「動作します」。使えるとは、言っていない。あくまで、動作している。これが、叙述トリック。詐欺の才能。騙された。騙されたんだ。納得して、電源を消して、窓から投げる、その瞬間に、どこかに眠っている、UbuntuのISOを焼いたDVDを思い出す。あれで起動すればいいじゃん。そう思いたち、ディスクを探す。しかし、見つからない。

 こうして、僕とINSPIRON mini 10との、3日間に渡る長い戦いが幕を開けたのだった。

続く

寒冷慣例
24/Nov/2013
 雨が降った。この季節ともなると、雨粒は刺すように冷たく、指先からじわじわと体を冷やす。手袋もないわけではないのだが、こういうときにつけると乾かさなくてはならなくなるから、あまり好ましくない。そういうわけで、僕はわざわざ手を凍えさせながら帰路に着くこととなった。結局コートとマフラーは干すことになったから、あまり意味がなかった。こうして季節は冬に向かっていく。

 そして、昨日は珍しく街に出た。僕は外出が嫌いだ。でなければこんなサイトであることないこと針小棒大に書き連ねたりはしない。おちんちん体操で日々を無為に過ごすことはない。が、時には出なくてはならない時だってある。しかし、僕の間の悪さはここでも発揮されることとなった。昨日は某球団の凱旋パレードの日だったのだ。

 野球は見るのもするのも憎むほど嫌いではない。バットがボールをしっかりと捉えて、彼方まで飛んでいく様子には興奮するし、自分の地方のチームが勝てばそれなりに嬉しい。とはいえ、野球が醸し出す「国民的スポーツ感」には、好きな人には本当に申し訳ないが、やや辟易している。さすがに、他の番組を押し潰してまで実況中継をやる価値はあるのか。特に、延長というのは本当に謎である。今言うことではないことかもしれないが、スーパーヒーロータイムという子供の夢を壊してまで、日曜朝からゴルフをしているアレも個人的には納得がいっていない。そんなにやりたいなら接待でもしてろよ。とは言っても、人気は人気。しかも地元チームが初の日本一ともなれば、ファンの熱狂も分からなくはない。人気なのにはそれなりに理由があるのだから、それを分かろうともせずに批判するのは愚者の振る舞いだ。そう自分に言い聞かせ、街の雰囲気を楽しもうと家を出た。

 結論から言うと、無理だった。甘かった。あいつら、通勤が何たるかを分かっちゃいない。ふざけやがって。改札で立ち止まらないだとか、降りる時入口付近の人間は降りるだとか、リュックは網棚だとか、そういう守るべき、社会生活を円滑に進めるための最低限のルールすらぶち壊して、タブーをものともせずに踏み越えて、奴らはやってきた。周囲の視線も気にせずに。うるさいほどの原色に包まれた子どもたちが電車に乗り込む。悲劇が始まる。泣き声、鳴き声、笑い声。騒ぎ出した子どもたちは、誰にも止められない。親の制止など何処吹く風、彼らの持つ不必要なまでのエネルギーは、電車を阿鼻叫喚地獄に叩き落す。被害は、電車だけではない。道路に出れば横に広がる。お前らはワイドショットか。カワリミマジックすんぞ。←・Bだコラ。怒りに震えながら、自分の甘すぎる算段を猛省する。二度とこんな時に街に出ようなどとは思うまい。そう誓って、帰宅する。

 押し入れから応援の時に使う、バンバン叩くアレが出てきた。もう誰も、野球の魔の手から逃れることはできない。気がついた時には、もう手遅れだ。
喫茶雑寒
11/Nov/2013
 今日は一段と寒かった。一度外に出て、呼吸をする。息を吸う度、喉を切り裂くような寒気が歯の隙間から流れこみ、息を吐けばその度白い湯気が立ち上る。しばらく外に出ているだけで、厚く覆ったはずの指先や首の間から、凍りつくような空気が入り込み、じわじわと体を冷やす。不思議な事だが、寒気というのはどうも一度通り道ができるとその部分を塞いでもしばらくは入ってくるらしい。思わず暖房の効いた、暖かい店の中に駆け込む。暖かい。生き返るような心地。勿論僕は以前にも熱弁を振るったように寒い方が好きではあるのだが、正直どちらであろうと両極端はあまり好きではない。現代っ子だから、寒いのも暑いのも度を過ぎれば苦手になる。そんなことを考えながら店内を見回す。どうやらやたらめったらなんでも高い、意識高い系学生御用達オサレ喫茶に駆け込んでしまったようだ。

   Macもなしに、今流行りのシャツが見えるくらい短いコートではなく時期はずれのジャンパーを羽織った僕に、店員を筆頭とした客の冷たい目線が突き刺さる。お呼びでない、ふさわしくない。そういう単語が頭をよぎる。ふざけやがって、僕だって本当だったら頼まれたってこんな店には来ない。ちょっと立地と雰囲気とそして室温が良かったからってなんでも許されると思うなよ。無論店はボランティアのために店内を暖めているのではなくて、僕のような刹那に生きる人間を客として取り込もうとして、このご時世に不必要なほど暖かくしているのだから、何か買わないわけにはいかない。騙された。罠だったんだ。今特に欲しいものはない。世間体と財布を天秤に掛けながら、やっとの思いでカウンターにいき、注文をする。したい、しかし出来ない。種類が多すぎる。決断が苦手な人間にティーとロイヤルミルクティーの選択肢を与えないでくれ。ティーにミルクをつければいいじゃないか。なんでどの飲料にも2種類以上あるんだ。でもここで迷えばもう怒り狂った後ろに続く客の人々にMacの鋭利なディスプレイを活かして刺殺されてもおかしくない。震える声で、店員に注文を伝える。ロイヤルミルクティーください。かしこまりました。良かった、通じた。しかし、新たな関門が立ちふさがる。サイズはどれにいたしますか。サイズ、そんなことまで決めなくちゃいけないのか。しかも、SMLとある。勿論トールだのベンティだの、何語かも分からない言葉を並べ立てる喫茶店よりははるかに良心的だ。でも納得はいかない。どうして容量で表示しないんだ。200mL、350mL、500mL。統一された単位は単純明快で、僕らに具体的な大きさを与えてくれる。ところがSやらMでは、オシャレなんだな、位のことしか伝わらない。店ごとに統一されていれば、それは僕の勉強不足という一言で一撃の元に葬り去ることができる疑問なのに、それすらもしない。怠慢だ、攻めていくアグレッシブな姿勢を教えてくれる、それが飲み物のサイズなのだ。話が逸れた、とにかく決めなくてはいけない。ここはMの持つ『普遍性』に賭けて、Mを注文する。かしこまりました。これでロイヤルミルクティーの持つ熱エネルギーが僕のものとなる。そう思っていた。しかし、戦いはまだ、終わっていなかった。砂糖はいかがいたしますか。入れてくれ。客の好みに関わらず入れればいいじゃないか。飲料に入れないで袋をつければ何も問題はないはずだ。嫌いなら捨てるなりお腹が空いた時に少しずつ食べるなりすればいい。というか、自分が砂糖嫌いだからって袋が入ってるだけで文句言うのはさすがになんなんだ。そんなことに目くじらを立てて、このストレス社会を生き残れるものか。危うくブーメランが突き刺さるところだったが、華麗に回避して論を進める。とにかく、その理論で行けばこの店は砂糖の袋を付けてくれるだろう。入れずに飲んで飽きてきたら砂糖を入れればいい。店を信じて、入れてください。かしこまりました。290円になります。高い。高い。コンビニではミルクティーが1L105円で購入できるのに、どうしてなんだ。電気代か。このお洒落な雰囲気を演じるために投入している白熱電球が、そんなに電気を食うのか。もうやめちまえ。逆に新しいじゃないか、LEDだらけでサイバーな喫茶店。苦い思いをしながらも、なけなしの290円を探す。渡す。10円とレシートのお返しになります。なっちゃったか。赤茶けた10円玉を財布に入れ、飲み物が渡されるのを待つ。店員がカップを掲げ、ドリンクサーバーのレバーを捻ジュゴオオオオオオオオボッボッボボボボズズズズウ大丈夫なのか、そのドリンクサーバー。カウンターで隠れた部分で何かをして、あっという間に出来上がる。何がロイヤルなんだ。インスタントじゃねえか。文句を言うほど僕に度胸はないし、常識だって弁えているつもりだ。受け取って、外に出る。忘れてた。超寒い。道行く人も、寒そうだ。スーツの営業マンは辛そうな顔をしながら電話をしている。でも、僕にはこのロイヤルミルクティーがある。一口含む。美味しいや濃い。なんていうか、ものすごい濃い。生クリームを水で薄めたものに紅茶の香りをつけたような、そんな飲み物。砂糖は入っていないはずなのに、甘く感じる。どうしてだ。疑問を感じながら、飲み切る。なんだかんだ、美味しいじゃないか。オシャレだけじゃなく、中身も伴っている、繁盛することは必定だろう。

 まあ、気持ち悪くなりましたけどね。
乱文轟々
2/Nov/2013
 気がついたら11月だった。読書週間も始まり、始まりと言った途端に終わりそうだが、とにかく始まり、いよいよ秋めいてきたと言って差し支えないだろう。台風の接近や残暑の長引きなど、秋にとって理不尽な状況が続いているが、それももうすぐ終わる。僅かばかりの期間ではあるが、秋の天下がやってくるのだ。来るはずなのだ……それなのに……もう……寒い……。秋は……秋ちゃんはどこに行ってしまったんですか!!!!僕の大好きな秋ちゃんは!!!!やっぱり冬と夏に押しつぶされてしまったんですか!!!!ねえどうなんですか!!!!!なんとか言ってくださいよ!!!!!!!!!!ねえ!!!!!!!!!!!

 しかしまあ、秋は何故か暇がなくなる。夏は融点に達しているため液状化しており、物理攻撃無効になるのはいいのだが、何も出来ない。冬は冬で凍りつくことで氷のオブジェとして人々の目を楽しませるという重要な役割があるため、ここでも何かすることは出来ない。となると何か大きなことができるのは春か秋くらいのものなのだが、ここ数年何故か秋に大量の用事がねじ込まれてくるため、何も出来ない。いっそがしいぃぃぃー!!!wwwwwwwwwというか、帰宅するまでは「よし、今日はサイト更新するぞ」「お絵かきもしよう」「読書もいいな」、そんな楽しい妄想に耽ることができるのだが、帰宅して横になり、スマートもしもしを手に取った瞬間に全てどうでも良くなってしまう。それでスレ検索窓に「エアロ」と入力してアを削除していたりすると、平気で1時間吹き飛んでいたりする。『結果』だけだ!!この世には『結果』だけ残る!!皆はちゃんとティッシュにくるんで捨てような!とはいえ一応、帰宅の道中に記事のネタを記録するという悪あがきもしているので、今回はその内の一つを使ってみようと思う。

 この間、暗い夜道を一人帰っていた。一日を終えた重い体を引きずり、残されたなされるべきことの多さに辟易しながら、自宅への坂道を登っていた。重い。どうしてこんなに坂道だらけなんだ。調子に乗りやがって、そう思いながら進むと、正面、小学生とすれ違う。小学4年生くらいの兄弟か。少し小学生が外に出るには遅い時間、違和感を感じながらそのまま通りすぎようとする。その子供も、ご多分に漏れず声が大きい。そんなに大きくて一体何と会話しているのか。もはやプライバシーなど存在しない。しかし同時に、プライバシーを気にするような過敏な神経も、世間体も何もない、純粋さとおおらかさも存在している。僕がおちんちんにかまけている間に失ってしまった何かを、彼らは持っていた。まあぶっちゃけるとその時は別に何も考えずに通りすぎたんだけど。ごめん嘘ついた。とにかく会話が耳に入る。どうやら弟が兄に問題を出している場面らしい。

弟「問題!オレの担任は明日出張です!○か×か!」

ほんとにそれ問題なんですか!!!!問題っていうかそれ……っていうか……なんか違うじゃん……。

兄「どうでもいいよ」

うん正論。どうでもいいよね、他人のクラスの担任事情なんて。っていうかこれ問題にする時点でほぼ確実に出張確定じゃん。もうなんていうk

弟「正解は×でした~!!!!」
    /\___/ヽ   ヽ
   /    ::::::::::::::::\ つ
  . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.   |    ::<      .::|あぁ
   \  /( [三] )ヽ ::/ああ
   /`ー‐--‐‐―´\ぁあ

世界って……なんなんだ……!

 ちなみに遅い遅いと思ってたら単に暗くなるのが早まってただけでした。もう、ドジっ娘☆