地過日記
Apr/26/2015

 散文詩のni-toさんからバトンをいただきました、ありがとうございます。テーマは「地下」でした。

 地下といえば、一つ思い出すことがある。幼い頃、ロフトベッド(厳密には下段が破壊された二段ベッド)の下に空いた狭苦しい空間を更に棚や壁で囲み、なんだかよく分からないスペースを作っていたことだ。まったく地下とは関係ないどころか、僕の家自身は4階にあったわけだけれども、僕と姉にとってそこは地下のイメージだった。小説に出てくるような、秘密と好奇心が渦巻く、そんな「地下」だったのだ。そこに照明やらお菓子やら、自分の好きなものを持ち込んで、居心地の良い空間を作った。そこに入るときはいつもわくわくしたし、親が傍を通るときは身を固くしたし、そして掃除のために(半ば強制的に)日の光が当てられたときは酷く残念に感じたものだ。

 あれから長い時間が過ぎて、僕にはもうロフトベッドもその下の空間も残されていないけれども、あの頃感じた高揚感は今でもよく覚えているし、忘れられない。忘れられないから、テキストサイトを始めたのかもしれない。これは僕の勝手な解釈だが、テキストサイトにはあのベッドの下の空間と似ているところがある。自分だけの空間を作り、好きなもので固め、居心地のいい空間にする。このステップはテキストサイトを作るのもベッドの下の空間を作るのも変わらない(もっとも、ほかにも同じようなステップを踏むものは世の中にたくさんあるが)。テキストサイトをやっていて感じる、そこに誰かを案内して、「良い」と言ってもらいたい、でも一方でそこは秘密の空間だから、誰にも明かしたくない。そんな矛盾した気持ちも、あの頃感じていた気持ちをうまく説明できると思う。確かにインターネットが地下、アンダーグラウンドのものであった時代は遠く過ぎ去り、今や猫も杓子も無線LAN接続、ときたものだが、たくさんの人間で賑わうインターネットの中でひっそりとたたずむ「地下」のような空間があってもよいのではないだろうか。むしろ、どんなことでも共有される息苦しい世の中において、自分だけの秘密の「地下」を持っているのはとても楽しいことだと思う。

 では、以上を踏まえて、テキストサイトには何が必要だろうか。それはズバリ、タグである。それはなぜか。地下だけにチカチカ、ということでここはひとつ。

 次はカオハキのhirosukeさんにテーマ「中学生」でお願いします。