余字受苦五
 鉛色ポエジーのフレッシュネスさんから「四字熟語」のバトンが回ってきた。ということで、四字熟語について、書いていこうと思う。

 四字熟語。手元の国語辞典によれば、
漢字4字で構成される熟語・成句・(スーパー大辞林3.0)
 ということらしい。実はこのサイトも基本的に記事タイトルが四字熟語となっている。いや今更ドヤ顔でいうことじゃないんだけど。もちろん、四字熟語と言っても、普通の四字熟語ではない。奇を衒ったサイトにありがちな、ちょっと既存の言葉を置き換えたりしたアレ仕様となっている。僕がたくさん更新していれば今頃タイトルもたくさんあるだろうから、お気に入りの紹介などで少し行を潰せたものだが、10月の更新数が少なすぎて語れるほどタイトルのストックがない。それでもしぶとくお気に入りを紹介するとしたら、「喫茶雑寒(2013/11/11)」、「台風豪憂(2013/09/15)」、「起床転結(2013/09/07)」あたりだろうか。これ感と寒がかかってたり雨と憂がかかってたりするんだぜ!!!!(ドヤァ)

 初っ端からの自サイト宣伝でだいぶ読者を逃した感があるが、今は問題ではない。というのも、この四字熟語というのは中々曲者で、同じ読みで若干意味が違う「合縁奇縁」「愛怨忌焔」「逢縁喜縁」「愛縁奇縁」「愛縁機縁」などがあったり、ちょっと待て今なんか変なの入ったぞ。調べたら「愛怨忌焔」は楽曲でした、ごめん。あるいは、熟語の音で漢字を入れると違うために書き取りの際純粋な語彙勝負という状況に持ち込んでくるもの(「危機一髪」や「衆人環視」)、卑猥なもの(「七珍万宝」、しっちんまんぽうと読む)、はたまたいつ使うのかわからないものなどがあり、壮絶な様相を呈している。せっかくだから、「今回は一体いつ使うのかわからない」四字熟語を幾つか紹介していく。

 まずは、「白河夜船」。ぐっすり眠っていて何が起きているか気づかないほどであることの例えらしいが、まず使わない。無論、使ってもいいのだが、「あいつは今白河夜船だぜ」いやどこだよ。地名かよ。とまあ、まず伝わらないだろう。美しい日本語は必要だが、他者との交流の際には分かりやすく普遍的で知識によらない喋り方というのも重要になってくるということをよく示している。

 次は、「身体髪膚」。これも微妙だ。体全体のことを指すらしいのだが、全身で事足りる上そっちのほうが字数少ない上位互換であるあたりなんとも影が薄い不遇キャラ感がすごい。どうやら髪の毛、皮膚を指すこともできるというメリットも存在しているらしいが、正直日常会話でそこまで指し示すことはないので結局意味がない。「身体髪膚が重い」などと言おうものなら、誤用を指摘されてボコボコにされるのは必定であろう。

 「薬石無効」も、現代日本ではめったに使われない言葉という意味では役に立たないだろう。治療のめどが立たないことを言うらしいが、医療は進歩してあまりこんなことはないし、勿論難病はあるが、何よりスゴいのが鎧についてるスキル感である。「薬石無効+1」うわあ強そう。

 「陶犬瓦鶏」はすごい。まずGoogleIMEでは変換されない。形や外見のみが優れ、役に立たない者という結構使えそうな意味があるのだが、誰も使わない。多分「お前陶犬瓦鶏だよな」とか面と向かって言ってもバレない。こうしてまたひとつ、世界に新たな悪口が生まれた……。

 とまあ、膨大な量の中から一部抜粋しただけであるから、まだまだ四字熟語の奥は深い。ぜひ暇すぎて輪ゴムで3時間くらい遊んでしまっている人は辞書を開いて四字熟語を探してみて欲しい。最後に、四字熟語の中には漢文からの派生、即ち故事成語も存在しているのだが、これもまた結構面白い。例えば、「漱石枕流」というのがあるのだが、ご存じの方もいるだろう。これは劉義慶「世説新語」、排調編の「石に漱ぎ流れに枕す」という故事成語に由来する。まあ要約するとドヤ顔で間違ったから揚げ足取ったら意外にもゴリ押しで意味を作られてしまった、という故事から負け惜しみの強いこと、酷いこじつけのことを意味するのだが、なんていうか、杜撰。ちなみに杜撰も有名ではあるが故事成語である。杜黙かわいそうすぎんだろ!

 最後に、天衣無縫ってなんかエロいよな!!!!!!!!!!そんなの着た美少女が出てきたら安心立命で意気揚々、一心不乱で一蓮托生だぜ!!!!!!